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「勉強がやりたくない」はどこから来るのか?

「自分は怠け者なんじゃないか」
「人よりも頑張れてないんじゃないか」
勉強している中で、あるいは継続して何かを学習する中で
そんなことを思ったことのある人もいるのではないでしょうか?

もしくは
「この子全然勉強しない」
「なんで大事なことに手を付けないのか」
と困る親御さんや指導者の方も居るかもしれませんね。

学習意欲は、学校の勉強だけでなく、
集団生活など様々な面で影響を及ぼします。

今回は、学習の動機付けに関する市川伸一氏の研究結果である
『学習動機の2要因モデル』をご紹介します。

一般的には、興味や楽しさなどから自発的に取り組む動機づけが「内発的動機づけ」といわれており、
他からの報酬などを必要としないものとされています。

一方、他者からの報酬や懲罰といった自分以外による動機づけが「外発的動機づけ」とされています。

今回は『学習動機の2要因モデル』を参考に、
動機づけについての考え方を紹介できればと思います。

同時に、自分のやる気スイッチがどんなところにあるのか
探すための参考になれば幸いです。

社会人基礎力と学習動機づけ

経済産業省の定める「社会人基礎力」の中の重要な力の1つとして
「前に踏み出す力(主体性、働きかけ力、実行力)」とあります。

もちろん、自ら前に踏み出せる人は素晴らしいです。

ただ、自ら前に踏み出せる前段階の条件として、
周囲との人間関係だったり家庭環境、経験・知識、物事へのスタンスなど
色々なものがあると思います。

人間は基本怠惰な生き物なので、
上手く条件が揃っていないとなかなか
自分の意志だけで「さぁやろう」と思っても動けないことも多いです。
(私だけではないことを祈りつつ。)

学習動機の2要因モデル

今回のご紹介する思考モデルは、東京大学教授で教育心理学の市川伸一先生の著書
『学ぶ意欲の心理学』を参考にしています。

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市川先生は、学習する理由、学習動機を「学習動機の二要因モデル」という形で、
下の図のように6つのパターンに分類しました。

縦軸が学習の重要性の高低、
横軸が学習の功利性、つまり学習行為自体の合理性が直接的なものであるかどうか
という指標になっています。

どれが良い、どれが悪い、とか、そういったものではないです。
上でも述べたように「主体的に前に踏み出す」ことが出来れば
その理由はなんだって構いません。

つまり、何にやる気が出るか、です。

訓練志向の部分に重きを置きすぎて、
スキルホルダー化して動けない、という人も中にはいると思います。

少し項目の中身を見ていきましょう。

➀充実志向「学習自体が楽しい」
学習することそのものが楽しくてやっているタイプ。
勉強すること自体に充実感を感じ、勉強をすると得をするなどという感覚はない。

②訓練志向「知力を鍛えるため」
自分の学力を鍛えることに興味を持っているタイプ。
やると頭がよくなるような課題にこそやる気が湧く。

③実用志向「仕事や生活に生かす」
勉強は自分の将来の仕事や生活に大切だからやるんだというタイプ。
勉強をすれば生活や仕事が豊かになるという考え方なので、横軸の「功利性」は強い。

④関係志向「他者につられて」
「みんながやっているから」など、周囲に影響を受けながら勉強に向かうタイプ。
環境に左右されるので、どんな仲間と過ごしているかが大切。

⑤自尊志向「プライドや競争心から」
プライドや競争心が強く「負けたくない」「優越感を味わいたい」などの動機で動くタイプ。
ライバルの存在は大きなプラスに。

⑥報酬志向「報酬を得る手段として」
外部からの報酬が動機となって学習に向かうタイプ。
「成績が上がったらお小遣いがアップする」などという理由で勉強する。
逆に報酬がないとやる気までなくなってしまう傾向がある。

ちなみに私の場合は、
・訓練志向
・実用志向
・自尊志向
の順にモチベーションを持って活動していることが多い気がします。

学習タイプによる「やる気」喚起方法

①充実向
学習自体に意味を見出せる人なので、
・時間を確保すること
・本のような知的好奇心を刺激するものを近くに置くこと
でやる気が喚起されます。

②訓練志向
レベルアップすることに意味を見出せる人なので、
・階段のように順番にレベルが上がっていくことが分かる本や動画
・能力の向上を視覚的に知ることが出来るツール
でやる気が喚起されます。

③実用志向
学習したことが役立つことということに意味を見出せる人なので
・実際に学んだことで誰かの手助けをしてみること
・店や商品パッケージ、道にある自動販売機などに対して「なぜ?」と質問を持つこと
でやる気が喚起されます。

④関係志向
人と一緒に時間を過ごすことに意味を見出せる人なので、
親子で学習の時間を設けること
友人と一緒に外で学習すること
でやる気が喚起されます。

⑤自尊志向
自分やライバルとの張り合いに意味を見出せる人なので
・友人と一緒に目標を決めて学習すること
・些細なことにも目標を立てて行動してみること
でやる気が喚起されます。

⑥報酬志向
条件達成でお小遣いアップなどの
頑張ったご褒美を用意すること
でやる気が喚起されます。


自分がどんな学習タイプに当てはまるか考えると、
意外と周囲の人とは違ったりします。
また自分がどんな時にやる気が出るのか知っておくと、
自分をコントロールするための手段にも繋がるかと思います。

ではでは~!